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見えないところを見る力

糸賀会長オフィス(美容室ニュースタイル)のアレンジメント。淳貴くんのスマイルバッグをお願いしている、デザイナー河上さん作品。


山口市内の火曜日。石材店のご主人在宅だったので「石垣」についておたずねできた。


私の疑問は①例えば萩城の石垣は熊本や姫路のお城とはちがい、巨石の原石を積み上げて築かれている。クレーンなど重機がない時代どのように積み上げたのか。


すべて3本の丸太をピラミッドのように組み、滑車で石を積んだ。その技はほとんど継承されてはいない。私に「重機を駆使して石垣を築け」と言われても自信がない。


神社の鳥居。山口市では護国神社の大鳥居の基礎はない。左右の柱を傾け、その重量で建っている。その技を知らない石工が建てると年月で柱にヒビがはいり崩れる。


それで不思議なことは、長崎爆心地のあの鳥居。片足で立っている。


②石垣は土を先に盛ったあとに石を積むのか。石を積みながら土を盛るのか。


石を組み、その裏にも補強の石をあてて土を盛る。その土をしっかり叩いて高さをあげていく。その「叩く」も丸太3本ピラミッドも私の記憶の底にあった。


まだ道路が舗装されていないころ、ボンネットの市営バスが土煙をあげていた。私が小学校就学前、道路工場の土方(どかた)の人が、太い丸木の輪切りに何本も縦に持つ手の、握りやすい太さの木を付け数人が掛け声をかけながら地面を輪切りの重量に力を加えて蒔いた砂利を締めていた。


植木屋さんが、大きな木を植えるとき3本の木を組んで滑車で動かしていた。


萩城址の原石「野面積み」

一見、雑に積み上げたように見えて、実はあの隙間が地震の揺れをクッションしているのではないかと私は思っている。


その裏には、見えないところに石垣を支える石工の技がある。


見えるところを支える、見えないところがある。