20年前の思い出

20年前、農園宴会の一枚。

前日、強い台風が通過した。この宴会は鶏舎の屋根が全て飛び去り。地域は停電しているなかで予定どおりに始めた宴会。発電機のエンジンをフル回転させて照明とトイレなどの水を汲み上げている。


屋根が飛んだ鶏舎に大雨が降り不衛生極まりないことになっている。大きなヒマラヤ杉が農園のなかで倒れている。その復旧と費用の心配。明朝からの採卵と配達など考えたら宴会している場合ではない。


みなさんに「予定どおりやります」と連絡したら「こんなときに」と言われたから「こんなときだからやります」と返事をしたことは覚えている。


豊浦の「鬼ヶ城」で父親が炭焼きをして育ててくれた李陽雨(り・やんう)さんがギターで「よいとまけの歌」を熱唱。


親しくつきあった黄栄作さんが陽雨さんコンサートに誘ってくれた。会場は豊浦の公民館。まばらな観客にまじって、土建屋のおっさんのフォークソングを聴いた。歌声よりおっさんの人柄のファンになった。おっさんがゲストに招いた人は呉明美(お・みょんみ)さん。

民族衣装チマチョゴリの正装で12弦のカヤグム(琴)を奏でながらアリランやトラジなどを披露した最後に「涙そうそう」彼女の大きな瞳から涙がこぼれた。1週間前に亡くなったおばあさんに歌ったと話された。


黄栄作さんから李陽雨にさんと呉明美さん。そして申徹也さんとご縁は続き在日韓国人の人たちと大勢ご縁が生まれていまも続いている。

残念なことは黄栄作さん李陽雨さんは故人になられたこと。


陽雨さんが養鶏業の申さんを伴ってきた夜は最高のライブだった。

申さん(かなり年輩)が酔って箸で茶碗を叩きながら、朝鮮半島各地で歌われるアリランを次々に披露してくれた。牛深ハイヤー節が北前船で各地に伝わりその地で独特の節まわしのそれ。


20年前の「きょう」最悪の状況でも最高の宴会をやった。