2冊のご紹介

5年前96歳で母はお国替えした。

33年働いて(母は奉職と)いるときは職場仲間とお付き合いはあった。退職してからはどこかに出かけることはなかった。

遺品整理を家内が大学ノートに母が書いた日記と俳句をどっさり発掘した。

出雲の豊かではない家、9人兄妹の長女の母は働いて仕送りするため小学校を出て松江に奉公に出された。つまり教育はしっかりうけていない。

その母が歳時記を片手に俳句を詠んでいたことをはじめて知った。宇部市秋の文化祭に応募して特選をもらっていた。


そのたくさんの俳句をまとめて家族に偲び草として遺しておきたいと思いながら腰が重くなっていた。


出版を仕事にしていた頃は装丁など考えることは得意だった。たくさんの偲び草を手がけた。その仕事のなかで感じたことは「本は紙の墓」と。石の墓も大切だが紙の墓はページをめくれば故人の想いに手がとどく。とても身近になる。


今朝、岡本拓也さん配達でお母さんの句集「スプーン一杯の幸せ 岡本絢子」218ページ。出版されたのは拓也さんの兄、上田淳さん(私と年齢は同じと聞いている)


ひとつのページに4句。文字の太さがバランスよい。


最後218ページは2句だけ。


新茶入れ私の席はこの我が家

 俳句アルファー・入選


明日とも知れぬ命に種を蒔く

 第22回NHK全国俳句大会・入選


たくさんお世話になった。そのひとつを挙げれば岡本のお母さんはお味噌づくりが得意だった。どっさり頂戴したとき太秦の長女にお裾分けしたら「美味しい」とお母さんにお礼の葉書を出した。以後、毎年「はい。これはお嬢ちゃんの味噌」と頂戴していた。


年末に入院先に会いに行った。とても喜んでいただき会話がはずんだ。穏やかな気持ちで毎日を過ごされることを願っている。


よく読ませていただき来週月曜日にお返し。


もう一冊「なぜ下関はフグの町なのか」

書いたのは下関掃除に学ぶ会重鎮。福村夫妻の孫「福村佳智くん」小学三年生の視点で下関とフクについてを調べた。

読んだ第一印象は「よくわかる」大学教授が難解な言葉をならべるより子供の視点から書いた文章はとてもよい。さらに「これを冊子にしないか」と持ちかけた松村御大の提案に応えて冊子にした藤フーズの社長もご立派。


ふたつの冊子をご紹介しました。