雨ふってかたまるものがある

午後メールチェックであけたタブレット。いつもは夜に投稿される加奈ちゃんのお店がFacebookに載っていた。

お昼ごろに来店されたお客さまに誤ってディスプレイ用のカンパーニュをお包みしたようで、そのお客さま探しとお詫びの投稿だった。

「いいね」を押して「雨ふってかたまるものがある」とコメントしておいた。


ディスプレイ用は硬く焼き固められいる。持ち帰ったお客さまはナイフで切ることもできず、かぶりついたら歯を失う。

包んだお店は大慌てしているだろう。

けれども、お客さまからクレームの連絡より前にお詫びを出したことで軟着陸できると思う。


5年ぐらい前、ブログに書いた私の「雨ふってかたまる」事件。

湯田温泉街の飲食店に火曜日の10時ごろお届け。シャッターは合鍵。シャッターを押し上げたら横にスライドするガラス戸は動いて店内に入れる。

その日、ガラス戸のスライドは重かったがなんとか動いた。私が入れるほど開けたときに路上まで響きわたる、何かが壊れる大きな音がした。


その重かった理由は、お店のテーブルが戸にあたっていた。それを押してテーブルが倒れた。取り皿や調味料に箸立てに爪楊枝など置かれたもの全部が床に散乱した。

グラスと皿は全て割れた。辣油やお酢に唐辛子や胡椒も床一面を汚した。

どうお詫びをしたらよいのか途方にくれた。その場で床掃除をすれば、私の配達を待ってくださるお客さまにもお詫びをしなければならない。そのままにしてお店をあとにした。


スタッフのみなさんがお店に来られて「これはなんか!」と驚かれる前に配達を済ませてお店に戻り掃除をしよう。与えた損害を払うことは二の次。

昼御飯は抜きで急ぎ足で配達を終えて3時前にお店に着いた。

用意して持ち込んだ段ボール箱ふたつにガラスやお皿の破片を軍手で入れて、床は新聞紙をたくさん使い拭いた。なぜ戸を力に任せて開けたのかと情けなかった。


オーナーに何度もお詫びの電話をしても繋がらず、伝言でご迷惑をおかけしたこと、すべての損害は当然ご請求くださいと。


夜中にオーナーから電話が着信して飛び起きた。

足立さんにお詫びするのは私のほうです。店内監視カメラの映像で一部始終がわかりました。

店内の電気設備を改修に来た業者が、テーブルを脚立代わりに使い土足で踏み台に使った。その移動したテーブルをもとに戻さず帰った。

そのあとで事故は起きた。足立さんの様子はすべて記録されています。申し訳ありませんでした。と逆にお詫びをされた。


もうひとつ。

都城市議会の会議録。印刷製本ができたので納品に向かった。その道中、会社で製品をチェックしていたら誤植が見つかった。

機転の利く社員が議会事務局に電話で「いま、納品に向かっていますが誤植が見つかりました」とお詫びの一報を入れた。わたしが着いたとき事務局長が「よい会社と契約してよかった」と言われた。「きのう」を「昨日」と変換した軽微な(ほんとうは、とても重要な意味)こととして事なきをえた。


いさぎよく謝る。


それが失われている昨今に疑問符をつけたい。


加奈ちゃん「いいね」😀