傾聴こそ心がかよいあう

菊川画廊。作品のなかでとくにわからない抽象画をどう鑑賞すればよいのかとたずねたとき「よくぞ、それを聴いてくれた」と解説に力がはいる菊川さん。


農園を見学に来られた人が、なにも聞かれずにぐるりと鶏舎を見てお帰りになる場合と、走りまわる鶏を見ていろいろと質問されることがある。


例えば、鶏舎ごとにフェンスを張り運動場をつくっている。あるとき「フェンスは必要ですか?」と問われた。

鶏は我が家という認識があるのかという実験をやったことがある。

運動場に放す各鶏舎から20羽と決めて5つの鶏舎から100羽を放した。その足にカラーテープを巻いて鶏の群れを区別した。

フェンスを全部解放して100羽は混ざって一日を楽しんだ。日が落ちて運動場に鶏の姿はなくなった。

5つの鶏舎を懐中電灯で見てまわったら、全部同じカラーテープの鶏が止まり木で寝ていた。

つまり、フェンスの仕切りは必要なかった。

「よくぞ聞いてくださいました」と熱弁になる。


配達のとき心がけていることは「聴くこと」それが、なかなかむつかしい。