大タヌキに負けた金曜日

木曜日、朝7時前に前日の夕方に釜山港を出航。玄界灘を約6時間でこえて12時ごろ下関市沖の響灘錨泊海域で、エンジンの回転を落として朝を待った釜山フェリーが関門海峡に姿をあらわす。


慶州ナザレ園、毎年2月にこの船で14回訪韓した。唐戸魚市場から眺めるときたくさんの思い出がよみがえる。


日韓問題で、昨年と比較して乗客が7割も減っていると聞いた。それでなくても格安航空や2時間で博多から釜山に着く高速船で旅客は減っていた。


荒天の航路のときはトイレに行くとき壁に手をあてて歩く。荒波が船体をたたく激しい音がする。好天の夜はデッキで対馬や釜山の夜景を眺めて酒を飲みすぎる。


はじめてナザレ園に行った一人旅。墓参に行くという八幡で塗装業を営む在日のおじさんと酒を酌み交わした。

ポッタリ(荷物運び)と呼ばれた韓国のおばさん。韓国商品と日本の商品を担いで、両手にも提げてこの船がわが家のたくましい女性。

顔馴染みもできて、キムチと焼酎で花札につきあった。


ある訪問の帰り、韓国船籍の釜関「釜関(ぷかん)・関釜(かんぷ)」フェリーに乗船した。韓国人船員がエコノミー席で転がっている私グループに来た「毎年、ナザレ園訪問ありがとうございます。上のクラスの部屋が空いているのでお使いください」と全員を案内してくれた。

毎回、ホテルやレストランに船の予約など、すべての予約を「慶州ナザレ園訪問団」と書いていた。


14回の訪韓。親切な人にはたくさん会った。嫌な人はひとりもなかった。


時計を見たら3時。きょうが木曜日と思って「まだ疲れているのに木曜日」と起きた。きのうエビやイワシを食べたことを思い出して金曜日とわかった。

お月さまが明るく夜露がおりていた。さっそく焼却ゴミを一輪車にのせて火をつけた。


金曜日の朝は家内がつくる味噌汁にソーメンをいれてもらう。昼はカレーライス。


草刈りが気になっていたが山口市内に出た。昼にもどったら、昨夜の甘エビの頭を揚げていた。大タヌキがあらわれた。エビの揚げ物で缶ビールを飲んでカレーライスを食べて昼寝をしたほうが絶対ええぞと耳元で囁いた。それに負けた。

甘エビの頭は捨てるかもわかないが、わが家は食べる。小イワシは骨まで食べて頭は愛犬。


農園内で働いている人や、周南市方面に配達に出た正志に後ろめたい気持ちで缶2本。昼寝もできた。