酢屋の坂道には 思い出がある

国東半島のつけね別府湾を望む位置に城下町杵築市がある。市役所(議会事務局)に営業で訪れたのは30年前のこと。作品の写真は「酢屋の坂道」手前の坂を下りきったところの右側が江戸時代「お酢屋」だったのでその名前がついた「酢屋の坂道」現在は綾部という屋号のお味噌屋さん。

NHKテレビ番組「大黒柱のある風景」で綾部さんが放映された。おばあさんが勘定場で五つ玉の算盤を使っておられた。味噌は麦だった。その姿も知っている。


綾部さんからとても低い石段をあがりつめた右のお屋敷が武家屋敷「大原邸」その石垣に沿って石段がある。それは一大事のときは武士が乗馬して駆け下ることができるようつくられている。


はじめて杵築市を訪れたとき、この大原邸から下る酢屋の坂道車止めでとまった。眼下の石段が綾部におりて、また上りつめる風景に息をのんだ。


親しくさせてもらった絵描きの石原忠幸さんが「あなたが好きな九州の風景を案内してくれませんか」と言われ「酢屋の坂道」と「小鹿田」をご案内した。両方とも石原忠幸先生の作品になった「酢屋の坂道」は菊川画廊で買い求めて真砂恵さん(次女)夫婦が自宅をもったときお祝いにした。「小鹿田」は買えなかった。


「酢屋の坂道」が石原忠幸先生のもとで完成した翌年。JALのカレンダーに作品とほぼ同じ構図で写真が使われた。そこには和服姿の女性が微笑んでいた。


その屋敷の坂道をスケッチしたカレンダーを6日の木曜日に「とりのこ」で偶然に見つけた。


鶏を飼いたいから売ってほしいとお客さまから先週頼まれた。きょう配達に行ってお断りした。その理由は、そのお客さまに毎週10個のタマゴが売れなくなることではない。

鳥インフルエンザ騒動で常盤湖の白鳥全部が処分された。鶏を飼ってみたいと思われたら、農園ではなくペットショップから手に入れてくださいとお断りした。万一、農園から差し上げた鶏が問題の原因になったとしたら、趣味に付き合ったしんあい農園が地域の養鶏農家に迷惑をかけることになる。

そのことを説明したら不愉快そうな顔で頷かれた。


『流されない生き方』


 どんなに立派な生き方をしていても、予期せぬ災難とか苦難に遭遇するのが人生です。

 そんなとき、普通の人は「私は誰にも迷惑をかけたことがないのに、どうして私だけがこんな目に遭うのだろう。不公平だ」と考えるものです。

 こういうときこそ、自分を見失うことなく、周囲に流されない生き方を通すことがもっとも大切です。


(PHP研究所:鍵山秀三郎「一日一話」より引用)