今村さん渾身の一枚

今村さんの写真撮影は専修大学野球監督時代につちかわれた。野球部のコマーシャル パンフレットを作りたいが予算がない。自分で制作する腹を決めて一眼レフを買った。

スポーツ紙の記者が大学に出入りしていた。記者をつかまえて撮影のノウハウを繰り返し学ばれた。


引退して船木に戻られてもカメラはいつもスタンバイ。一瞬を狙うその腕はグラウンドで鍛えた。


昨夜、部屋にあがった犬が唸った。階下に車が止まっているいた。来客は案の定 牧さん。外で立ち話、日本酒を1本私に握らせて立ち去った。天草市から岡山市に向かう途中だった。


朝6時半の唐戸魚市場。台風一過で鮮魚が並んでいると思ったが、日本海はうねりが残り漁船は出なかったらしい。不本意ながらの魚を予算の範囲で二品は買った。牧さんの酒を冷やしている。


木曜日の楽しみは「よしの談義」私が映画談義を済ませたあと「春宵十話」を吉野さんが話題のテーブルにあげた。

95ページ「日本が変わりはじめたのは、東郷が去ってから」のくだりが今回で4読目に発見した岡潔の視点と興奮気味。

薩摩藩の時代から日本の歴史にかかわった東郷平八郎が生きているだけで日本の「タガ」は外れなかった。その東郷が没してタガが外れた。歴史を岡潔は見抜いているとご主人は興奮気味。その主人と私の会話に奥さまはまったく関心ははない。


きのう、枕経の席で今村奥さまが「主人と足立さんの会話は愉しそうで、私が入り込むことは無理でした」と話された。吉野の奥さまもそうかもわからない。

愉快な会話のなかに、たくさん示唆をいただいた今村さん。もっと話をしたかった。教えてほしかった。


『特化する』


 お店を育てるには、きれいにすることです。きれいにしたうえで、何か一つを特化していくことです。

 特化ということは、千人が千人とも「ほう、この店はこういう点が他の店にない素晴らしいところだ」と評価してくださるようになることです。

 芸術も特化されたものだけが歴史に耐え、遺されてきました。お店も、同じです。基本は、きれいにすることです。

(PHP研究所:鍵山秀三郎「一日一話」より引用)