厳しい寒の戻り

糸賀社長はあらゆるジャンルの本を読まれる。その中から「読んでみんかね」と自宅の書棚から私に選んで持ってきてくださる。

いま私の手もとにお借りしているのは「阿川弘之全集」の一巻から三巻。それと城山三郎「臨3311に乗れ」。あとは読んだあとは処分してよいと「サライ」などの雑誌。城山三郎が文庫本で手軽な感じがして昨夜から読みはじめた。


終戦後の混乱のなか、現在の近畿日本ツーリストを創業した野武士のような男たちの実話「臨3311」とは修学旅行専用列車のことだった。起業して大きな会社に成長するには命がけで働く物語があるのだろうが、時間をおって展開するやり取りは、時間を費やした城山三郎の取材力。そして描写がいちいち私は気に入った。例えば、ある目的に男二人の心が揃ったとき「二人は、音を立てて、グラスを合わせた」など。1975年に近畿日本ツーリスト株式市場から刊行された文庫本の半分以上を、ウィスキーをチビチビやりながら読みすすんでいたら糸賀社長から電話がかかった。


弱々しい声で「すまん、日曜日の萩はキャンセルじゃ。体調が急に悪くなり入院したんじゃ」私が知っているだけでも5回ぐらい入退院の前科がある。いつも完全復帰される。この2月にも下関市で「ふく宴会」愉しく食べて飲んだ。きょう電話をかけてもつながらないので心配している。


今朝の萩行きは途中の雲雀峠から小雪が舞いはじめた。萩市はかなりの強風で、長門市まで日本海添いを高架で走る山陰道は車体が風であおられるので旧道の山越えをした。鎖峠山頂でも小雪にあい驚いた。


松村御大からハガキを頂戴した。今シーズンの「ふく」が終わったが消費が伸びなかったことを、若者層の食の傾向を分析されて「満足感より満腹感」と表現されていた。