いつでも死ねる話

配達などすべて終わったのは長府。家内が今夜は農園に泊まるのでパンを買おうと思った。朝7時半にシャッターをあけてたまごをお届けしたブティック四季に立ち寄ったのはお昼過ぎ「パン屋さんはありますか」とオーナーの岡崎さん(82歳)にたずねた。


もう10数年前からのお客さま。この長府界隈で一番派手なファッションセンス、とくにツバ広の帽子はルノアール調。歳を重ねるほどに派手に装いたいと常々話される。


ご主人が3年前に亡くなられ、その仏壇に供えるパンを檀具川沿いの茶房で週に何度か焼いてもらっている。その半分をくださった。


私はご主人を存じ上げている。その姿は近くの歯科医院の駐車場で奥さまを待つ。お店まで奥さまを送り手を振っている姿など。

奥さまの趣味の絵画展覧会があると車で送り「ここは君の世界だから、僕は待っているから何時間でも観てきなさい」と言われることもしっていた。(「オレ」「オマエ」の私とは品格がちがう)


ご主人が定年され、第二の仕事に就かれたときお給料と年金はすべて奥さまに渡された。会社から支給される交通費2万7千円はご主人の懐。それを積み立て約10年の間に奥さま旅や食事などたくさん尽くしてくれた。

いま、年輩の男性を見ると主人を思い出してつらい。もし、あの世があり主人が待っているなら、すぐにでも死にたい。目を潤ませて語られた。


前置きが長くなりました。


写真は、そのブティックのマネキンです。40年、折々のファッションで着飾っているそうです。私は「美人」といつも惚れ惚れ見ています。後ろの「お尻」も魅力的なのです。