藤中隊長 ご紹介

長府「あけぼの珈琲」約束の時間に店内に入ると、視線を合わさず素通りしたい男がいた。この人物こそ、最近お名前と作品を紹介している藤中隊長。


私の思いでの「駄菓子屋」にタイムマシンで誘ってくれるような作品や、数々の作品をこの店で頂戴した。


過去を一切話さず逝った母(大正8年生まれ・96歳没)が「この場所はどこかね」とベッドの母に見せたセピア色。笑顔の母が一歳ぐらいの私を狛犬を背景に抱いた写真「乃木神社」とつぶやいた。その狛犬は今もある。


その話を、長府の藤中隊長に話した。しばらく経って、あの話題をもとに短編を書きましたと便りが届いた。それを読ませていただく楽しみがきょうになった。


「壇具川」と題された原稿用紙9枚。

遺品の写真からはじまる、母と私の知らない父親の切ない恋が長府の町に影を落とす。

母から「乃木神社」と聞かされ、その翌日写真を持って翌日神社に急いだ、あの私の心持ちまで原稿用紙に再現されていた。


昨夜一晩で書き上げたと言われた「決闘巌流島 秘剣燕返しの事実」は原稿用紙十三枚。

 慶長十七年四月十七日、豊前小倉藩領舟島の上空は暗雲に覆われていた。  古川薫先生の歴史小説かと思わせる書き出しにはじまり、小次郎の燕返し実は懐で燕の卵を孵す趣味だったことが判明する。さらに、岡山で桃農家をしていた者が凶作で借金が増え田畑を売って馬関に引っ越して「桃太郎」という うどん屋をはじめて馬関名物になっているというお笑い歴史小説だった。


早朝、藤中隊長がフェイスブックに投稿。

言葉遊びに興じてみた。わかりましたら星5つ。


鶴亀揃いた目出度さも🔶五郎時致矢の如し🔶花見踊りに浮かれ出て🔶浅妻船は長閑なり🔶菖蒲浴衣は肌寒く🔶雨に煙りし越後獅子🔶岸の柳に涼とれば🔶吉原雀が狂い鳴く🔶秋の色種まだ遠く🔶夜長舌出し三番叟🔶山姥背負て来て見れば🔶雪の衣の鷺娘


私にはサッパリ意味不明だったので別れ際に答えを聞いた。長唄のなかで、一月から十二月を拾いあげてみた。と教えていただいた。