愛犬 健太の命日

2年前の7月。愛犬が2頭続けて亡くなった。

きょうは「健太」の命日。猟師の家で生まれたが、銃声に怯える犬だった。捨てられはしなかったが冷遇されていることが耳に届いた。ある人に「1万円で買ってきてくれ」と依頼した。数日後、軽トラの荷台にロープで繋がれて来た。痩せ細り、殴られたのか頭に新しい傷と血のあともあった。驚いたことは、その日に出した大便にたくさんの寄生虫が動いていたこと。 生後1年と聞いた。

当時の健太をご存じの方は多い。人を信じない冷たい表情で、とくに目付きか鋭かった。4~5年かけて表情がやわらかくなった。どの犬より私に甘える性格で名前を呼ぶと跳んで来た。

ある秋の夕暮れ、家内と外でサンマを焼いていたらイノシシが出てきた。猟犬だから試しに健太を放したら全速力で仕留めに走った。小型のイノシシではあったが絶命させた。けれども「音」は苦手。落雷がはじまると暴れて手におえない。


2年前の春、片方の睾丸にイボができた。大きくなるので獣医に診せたら「悪性かもわからん」と診断。1ヶ月後に診せたる「切除しよう。あんたが手伝ってくれ」ひとり獣医なので仕方がない。約1時間、血を拭いたりドッグフードを買いにきた客の応対をした。

結局、術後の経過がすぐれず、手を尽くしたが悪化した。食べられなくなり数日、痛みがはげしいのか触ると威嚇する。腰の大きな腫れと末期の形相は見るに耐え難く、安楽死を電話で頼んだら、いろいろ経過があったが器具と薬を出すから私にやれと言う。


考えたあげく「放置」することに決めた。朝まで命がもたないことは様子でわかった。せめてキツネなど動物に殺されされないよう。近くにハッピーを繋いだ。夜中、何度か見に行った。目はあけないが触ると唸る。


朝5時。苦悶の表情で硬直していた。この姿は誰にも見せることはできないと思い「はなちゃん」「太郎さん」の側にユンボで深く掘り、泣きながら埋めた。6時のサイレンが聞こえた。いまでも6時のサイレンは健太を思い出す。


携帯電話は21時で自動電源オフに設定している。その1分前、昨夜は夢の中から起こされた。中学2年生の同窓会が市内であった。案内があったが欠席したのは、隣のクラスの同窓会と聞いたから。

その50年前の男や女が次々に「あだち君」と電話で騒いでくれた。担任教授は英語だった、小柄な先生に私が命名したのは「チィーチャー」チィーチャーは酔って電話の応答が不明瞭。懐かしい仲間の声にタイムマシンで中学生になった。


今朝は5時から8時まで草刈り。あとは「ラストエンペラー」「イーグルアイ」2本の映画を5時間も楽しんだ。