お別れの手紙

3日まえ、礒村千代子先生にお線香をあげに行った。遺品の俳画帖や扇子を長女から「母がきっと喜びますから」と頂戴したとき「母は、息子のように足立さんをおもっていましたよ」と言われた。


あの日から、あらためて礒村先生からいただいた多くの手紙を読み返している。

先生は2月にご逝去された。その2ヶ月前に届いた便箋5枚の封書が最後だった。その末尾は。


足立さん、大変お世話になりました。この世であなたに遇えたことは幸せでした。

ありがとー 元気でネ


と結ばれていた。


1月、腰の激痛で救急搬送され入院。数日後に病室を訪ねたら「肋間神経痛じやった。鎮痛剤を打ってもらうから楽になった」と握手を求められた。廊下で、それは骨盤のがんの痛みをおさえるモルヒネだと耳打ちされた。

それから数日後に亡くなられた。あの握手が最後になった。


いつも周防灘を望める岐波の喫茶店 ラメールに呼び出され、先生の生き方を教わった。

わたしこそ、先生に遇えたことは幸せでした。