母の足跡を読む

昨夜のSONGS 高橋真梨子。67歳とあかるく年齢を自己紹介にそえた。この年齢の体力で歌い、それでもコンサートに来てくださるお客さまと歩んでいく。いつか中尾ミエが「鏡のなかの自分に慣れること」と答えたが、年齢ゆえに出せるモノがあると感じた。


たくさんの大学ノートにきざまれた母の赤裸々な文字をたどりながら、わたしの健康や事業を神様に祈り続けていたことが今ごろわかる。会社の利益を案じる母の言葉を、当時のわたしは背中で聞いていた。

山口大学工学部の用務員を30数年つとめあげ、わたしを育て上げている母の姿に、ノーベル物理学賞の湯川博士が(大学に講演)色紙に一筆書いてくださった。それが出てくれば家宝になる。病床の母に聞いてもわからない。その手がかりを大学ノートに見つけた。

今の自宅に移るとき失った無念のページ。記憶では。


我はものの数にもあらず  深山 木の路踏み分けし  人を偲ばず


記憶だから真偽はわからない。


気になる奥歯。診察に行ったら抜歯された。麻酔が切れるまで数時間、飲んだお茶がダラダラこぼれて情けない。